今回の作品の総括。

さて、こちらではRe:versible/Re:incarnate Te:njikの感想です。

こう書くとプレイした感想みたいになっちゃいそうですが、あくまで制作の感想です。


今回のゲームはミステリ、そして古き良きノベルゲームのオーソドックスなシステム。

これらにリスペクトを捧げた特殊なシステムを使わないノベルゲームにしました。

人によっては「キャラを入れ替えるのは特殊では?」と思われるかもしれませんが、

これに関しても偉大なる先人たちはちゃんと実現しています。

主人公を入れ替えるのは「EVEシリーズ」で行われてます(何十年前のゲームだろう?)。

登場キャラの視点替えに関しては「かまいたちの夜3」で行われて「街」でもあります。

なので、今作は古き良き名作に捧げるオマージュという点でちゃんと準じています。

前作の「げきぶ!月下宵那美高校演劇部の華麗なる放課後。」を映像化するという

珍妙なコンセプトからの爆発的な進歩ですね(笑)。


ですが、前作のコンセプトを悪い意味でも継承しているのが今作なんです。

今作の登場キャラは過半数が既存作品からの登場です。

それもあって、前作品に関して完全に知らない人からすればかなり敷居が高いですよね。

プレイする前に前作を見ろなんてかなり不親切だと思います。

いくら本編中前知識がなくてもそれなりに読めるとは言ってもやはり限界があるし、

初見さんはそのノリについてこれなければ振り落とされるのも無理はない。

さらにこの作品は10時間相当の時間がかかる作品です。

企画のファンでもない人の10時間を奪うのはもはや犯罪と言っても過言ではないでしょう。

自虐がえぐいですが真実なので(笑)。


というのも演劇を観せるというのがまさにこれなんだと思っています。

出演者が客の1時間から2時間をもらう。返すことができない時間です。

等価交換になりません。さらにお金まで奪うんですから。

面白くないものを観せるわけにはいかないんですよね。だからこそ命をかける。

毎日毎日精神力と命を限界以上に削り、作品を削り、鋭利にする。

その結果、お客様に観せられるレベルになる。

ゲームも同じです。毎日毎日命を削り作品を構築し、リリースする。

媒体が違うだけで本質的な部分では違いはありません。

だから「今回の作品が前作の登場人物をメインにしている。

それでプレイできない人がいるのはある意味しょうがない」んですよね。

サイノーコミュニケイションが抱える問題の一つなので(汗)我慢してください。

その代わりの無料公開です。時間とお金で言うと「お金はもらわないシステム」です。

お客様は「やる」も「観ない」も自由なわけですから。

10時間プレイしなくてもいいわけですし、

最初の選択肢にたどりつかなくったっていいんですよ。

キャラクター紹介を兼ねている導入で投げても全然構わないわけです。

ただし、この世界観にハマれるのであれば10時間は有意義な時間になってくれるはずです。

なにせこちらは命をかけて作った作品ですから自信があります。

と言う信念で作った作品なのです。


と、イキリ倒しているわけですが実際はそうでもありません。

実はずっと疑念があったんですよね。この企画ならではの問題に。

そもそもは動画を公開していた企画なんです。

可能性を持っているのに表に出られない人の可能性を提示する。

そんな企画発掘応援企画でした。キャストを集め、作品を公開。

閲覧数も宣伝という宣伝を行わない割にちゃんと数字が出ていました。

(演劇基準で考える一公演で動員できる客の総数と比較しての話です)

ですが、そこである問題に気がつき、それ以来ずっとそれが脳裏にありました。


それは「作品に対する反応が全くない」ことなんです。


舞台やるとアンケートでお客様の声が返ってきます。

まぁ、任意なので返ってこない場合もありますが割と返ってきます。

で、動画に対する反応が全くと言っていいほど返ってこない。

返す方法は数多くあるのに、全く反応がないんですよね。

そうなると、この企画がどっちの方向に進んでいるのかわからなくなるんですよね。

正しいのか間違っているのか。


確かに敷居が高いと思います。コメントを残すのって。

なのでそれはしょうがないかと思っていましたが、それにしてもなさすぎる。

実際に耳にする評価はあったのですが、それはこの問題があります。


舞台は呼ぶお客様が出演者の知り合いと身内で過半数を占めてしまう。


こんな問題があります。身内は褒めて当然なところがありますよね?

そうなると正当な評価がわからなくなってしまう。

実際に耳にするということは距離がある程度近いんですよね。

その反応には今言った問題点がドンピシャです。

あくまで企画として聞きたいのは第三者の意見です。

その第三者の反応がないことが「この企画が持っている物差し」が

正しいのか間違っているのか。完全にわからなくさせる。


本題に戻るんですが、当企画は作品を出す明確な目的を見失っていました。

そこで最後の企画として、このRe:versible/Re:incarnate Te:njikを作り、

当企画のことを「何も知らない人」の意見を聞くため「ゲーム」として作品をリリースし、

何の反応もなければ即刻全ての作品の公開を止め、企画に終止符を打つ予定でした。

(可能性を提案する企画が面白くない作品を出してちゃ世話ないですからね)


例によって「既存作品の世界観」「既存作品の登場人物」を使った作品を作ります。

前提条件のゲーム版「げきぶ!」がダウンロード数の割になんの反応もないところから、

ほとんどの人がこの作品をやっていないと判断し、バッジも仕込んでいるのに

誰も取った形跡がない。これなら絶対やっていないと確信しました(笑)。

それならば最後の舞台にこれほど好条件はないと思いましたね(失笑)。

(後ほど知ることになるんですが、ダウンロードでプレイするとバッジはもらえない。

さらにブラウザプレイの場合、ゲームがGoogle Chromeなどでないと安定しないなど

実際の環境でプレイができるできないが明確に変わるので指標にならない。

さらにゲーム版げきぶには致命的な書式ミスがある。なので実際にはプレイを

していないという可能性は低い)


ゲームをリリースしてしばらくし、まさかの反応が出ました。

そうです。初コメントをいただきました。

その方のコメントはプレイをした人にしかわからない内容を書いてあるコメントで、

さらにその方のTwitterには実際にプレイしている時の感想がたくさん呟かれていました。

個人的にはこれだけで十分な反応であり、今回の目的も達成できたわけです。

ところが驚くことにその後、別の方からもコメントをいただきました。

全ての方が最後までプレイをしていただいていました。

正直、10時間もプレイをしていただきとんでもなく申し訳ない気持ちでいっぱいです。

人の一生で10時間は一瞬かもしれませんが、等価交換で材料を提示することは不可能です。

それほどまでに価値のあることだと思います。

最後までやっていただき、コメントまで残していただける。

製作者としてこれほどまでに嬉しいことはありません。

当初の目的は、企画にとってそれ以上の成果をもたらしてくれました。


おかげで初心、そして見失いかけてた何かをもう一度掴めそうな気がします。

当面はおまけのシナリオのリリースを全力であたり、打ち上げゆっくり動画を作って

企画は終焉を迎えますが、もしかしたら別のルートに分岐するかもしれません。

人生ってのは何があるかわかりませんから(笑)。


プレイしたいただいた皆様、本当にありがとうございました。

どんな事情はあれど、作品を作る以上一切の妥協はしていません。

命をかけて作った作品が皆様の好みにあったのならそれが全てでございます。

感想いただき、これほどまでにはしゃいだことはありません。

本当に素敵なコメントの数々、ありがとうございました。

サイノーコミュニケイション&THEファクトリー

あなたのサイノーを勝負に使ってみませんか?様々な企画を構成し、サイノーを後押しする企画団体です。主に動画、声優、ラジオなどを展開しています。